数学者と数学史(ガロア)

こんにちは。
数ラボの舟根です。

数学者と数学史を知ると数学が少し楽しくなる気がするので,
少しずつ紹介していこうと思います。

今回は私の大好きな数学者のひとり「エヴァリスト・ガロア」を紹介してみたいと思います。

写真は有名な15歳のときの肖像画です。
19世紀のフランスの数学者です。
かなり衝撃的な人生を歩みます。

そんなガロアの話の前に,
皆さんは2次方程式の解の公式はご存じでしょうか?

もちろん知っていますよね。

では,3次方程式の解の公式はご存じでしょうか?

知っている人が極端に減ると思います。
なお,高校数学の範囲で考えれば,知らなくても特に問題はありません。

4次方程式の解の公式は?
5次方程式は…?

3次方程式の解の公式は「カルダノの公式」などとよばれ,16世紀中頃ジェロラモ・カルダノによって発見されました。

4次方程式の解の公式は「フェラーリの公式」などとよばれ,同じく16世紀中頃カルダノの弟子のルドヴィコ・フェラーリによって発見されました。

興味のある方は調べてみてください。

その後,数学者たちは5次方程式の解の公式を発見しようと頑張るのですが,全然見つかりません。

そして,19世紀初頭ついにニールス・アーベルによって5次方程式には解の公式が存在しない(正確には,5次以上の代数方程式が代数的に解けない)ことが証明されました。

なお,アーベルの論文は当時非常に高度なもので,最初は誰にも理解されなかったそうです。
今度どこかでアーベルの話もしたいですね。

そのアーベルの少し後に,ガロアも同じ結論に辿り着きました。しかも独力でさらに深くまで。
その時ガロアはまだ16歳だったそうです。
ガロアがアーベルの論文に出会ったときには,アーベルは既にこの世を去っていました。

後に「ガロア理論」とよばれる代数学で非常に重要な役割を果たす理論を構築し,現代数学に大きな影響を与えます。
こちらも発想が画期的過ぎて当時最高峰の数学者たちにも理解されず,ガロアが生前に評価されることはありませんでした。

大学で数学科に進学しないと「5次方程式が代数的に解けない」ことや「ガロア理論」を学ぶ機会はないかもしれませんが,
彼の人生は,間違いなく現代数学に大きな影響を与えています。

ちなみにガロアは学校では結構な問題児だったようです。
落第したり受験に失敗したりもします。
2回逮捕もされます。

2度目の受験の口頭試問のときに,
試験官の頭のわるさにいらだち,黒板消しを試験官の顔に投げつけ席を立った
という伝説が語り継がれています。
当然不合格になりました。

そして最期は,決闘での負傷が原因で20歳の若さでこの世を去ります。

彼が親友のオーギュスト・シュヴァリエへ宛てた最後の手紙(遺書)には「僕にはもう時間がない」という言葉とともに,後の数学者の研究対象となる理論に対する着想が書き綴られていました。
手紙の最後はこう結ばれています。

このわかりにくさのすべてを読解して,前進を手にする人々が出現するものと,ぼくは夢みている

最後の手紙から約半世紀後やっとガロア理論へ通じる数学領域の整備がなされ,その内容が理解されるようになります。

ガロアの夢はかないました。
そして現代数学の扉が開かれるのです。

このように数学者にも様々なドラマがあります。
(中でもガロアは衝撃的ですが…)

私たちが当たり前のように学んでいる内容も,誰かが最初に発見しているものなのです。

皆さんも気になる数学者がいたら調べてみましょう。
きっと楽しいと思いますよ。

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